今回はゴーイング・メリー号がミズンセイル(後方の帆)に採用している「三角帆(ラティーン・スル)」の機能と詳細について解説します!
ゴーイング・メリー号について詳しくなれる他、他の海賊団の船についても見識を深めることができますので、気になる方はこのままご覧下さい!
ワンピースにおける三角帆
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(C)尾田栄一郎/集英社 『ONE PIECE 12巻』より引用
単語としての初出はメリーさんによるゴーイング・メリー号の説明「カーヴェル造り 三角帆(ラティーン・スル)使用の中央船尾舵方式キャラヴェル」です。
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(C)尾田栄一郎/集英社 『ONE PIECE 5巻』より引用
ここ以外でラティーン・セイルについて言及したシーンはありませんが、バギー海賊団のビッグトップ号や客船オービット号、ウソランド号など多数の船がラティーン・セイルを使用しています。
マンガ本編だけだと全容がわからない船も多いですが、NEW STARTER SET vol.1とvol.2のビブルカードバインダーの内側に空島あたりまでの船が載っておりそれぞれの船が三角帆か否かを確認できるので、ご興味あれば確認してみてください
三角帆(ラティーン・セイル)について解説
三角帆(ラティーン・セイル)とは?
ラティーン・セイル(Lateen sail)とは、三角形の帆を斜めにマストに取り付けた帆の形式です。
地中海や中東、アフリカの沿岸で古くから使用され、特に中世から大航海時代にかけてヨーロッパで重要な役割を果たしました。
揚力の力で進む帆
ラティーン・セイルの最大の特徴は、向かい風でも前進することができること。帆を風に対して斜めに当てることで、風の力を“前進力”に変えています。これは飛行機の翼と同じ仕組みです。
詳しく説明すると三角帆は、以下のような「揚力」を利用しています
1. 風が帆の両面を流れる
帆が斜めになっていることで、風は片面で速く流れ、もう片面では遅くなる。
2. 翼と同じ原理で「揚力」が発生
この空気の流れの差で、帆には“横向き”の力(揚力)が生まれる。
3. キール(船底の板)で横滑りを防ぎつつ、進行方向へ推進力に変える
横向きの力を、船の構造(特にキール)が“前進方向”に変換してくれる。
風に対して「斜めジグザグ(タッキング)」に航行することで、真正面の風には進めないけど、間接的に風上へ進んでいけるわけです
まとめ
三角形の帆は、
- 前の先端が尖っていて風を切り裂く形
- 角度の調整がしやすく風向きに柔軟に対応
- タッキングでの左右の切り返し
といった理由から、揚力を活かすために最適な形のため、採用されることが多かったそうです。
三角帆の動きについては動画で確認したい方は、下記のでんじろう先生の動画をご覧下さい!
キャラヴェル船とラティーン帆
ラティーン・セイルの能力を最大限に活かしたのが、キャラヴェル船です。15世紀のポルトガルやスペインの探検家たちが使い、アフリカや新大陸を目指して航海しました。
- 風上にも向かえる自由な航行性能
- 狭い沿岸でも扱いやすい小回りの良さ
- 少人数でも運用できる扱いやすさ
上記の要素がそろったキャラヴェル+ラティーン帆の組み合わせは、まさに大航海時代の象徴的テクノロジーでした。
つまりキャラヴェル+ラティーン帆は、「小回りが利く・風上に行ける・少人数で遠出できる」=究極の探検用船セットだったんです。
中央船尾舵との関係
三角帆(ラティーン・セイル)と中央船尾舵に直接的な技術のつながりはありませんが、航行性能の進化という点ではセットで使われるようになった重要なコンビです。
ラティーン・セイルで風を切って進むには、正確な操舵が必要不可欠。そこでセットで進化したのが「中央船尾舵(センターラダー)」です。
ラティーン帆で風上に進もうとするには、細かい角度の調整、つまり舵の精度をあげる必要がありました。そこで舷側オール方式だった舵は中央船尾舵に進化します。
この舵が導入されることで船の進行方向を細かく制御できるようになり、ラティーン・セイルの力を存分に活かせるようになりました。
ラティーン帆で「小回りを効かせながら風上に向かえる」ようになり、中央船尾舵は「船を自在に操縦する」ことができるようになったのです。
この2つが中世後期〜大航海時代前後にかけてヨーロッパでセット的に登場し、船の性能を飛躍的に向上させました。
まとめ:三角帆は「風を切って走る翼」
ラティーン・セイルは、風をただ受けるのではなく、風を利用してコントロールしながら進む帆です。その形や仕組みはまさに「海を走る翼」。
風上へもどんな方向へも進んでいけるこの技術は、まさに人類の航海術を飛躍させた発明だったといえるでしょう。
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