今回はMr.5の武器、「フリントロック式44口径6連発リボルバー」のフリントロックとは何かについて解説します!
ワンピース世界のフリントロック式
フリントロック式ピストル
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(C)尾田栄一郎/集英社 『ONE PIECE 36巻』より引用
ワンピース世界で使われてる銃が「フリントロック式ピストル」であることは9巻のSBSで言及されており、この時に現実の仕様とは異なり連射できるモデルもあることが明らかになっています
後にプリンがパーカッション式の銃を使用しているので全ての銃がフリントロック式というわけではないみたいですが、一般的に普及しているのはフリントロック式なんでしょう
撃鉄の機構が見当たらないブラハムの銃などがどんなモデルなのかは気になるところですね
フリントロック式44口径6連発リボルバー
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(C)尾田栄一郎/集英社 『ONE PIECE 14巻』より引用
| 所有者 | Mr.5など |
|---|---|
| 初登場 | 12巻 |
| 産地 | 南の海 |
フリントロック式44口径6連発リボルバーはリトルガーデンでMr.5がウソップ&カルー相手に使用した武器です
シリンダーにボムボムの実の力で起爆するようになった息を詰め見えない爆発する弾丸を飛ばす技、「そよ風息爆弾(ブリーズ・ブレス・ボム)」を放つのに使用しました
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(C)尾田栄一郎/集英社 『ONE PIECE 14巻』より引用
本来、フリントロック式の銃は火縄銃などと同じで一発ずつしか撃てませんが、Mr.5の使うニューモデルの銃は前述の通り連射することができます
火打石式 フリントロック

フリントロックとは?
フリントロック(火打石式)とは、火打石を鋼(フリズン)に打ち付けて火花を発生させ、導火薬(フラッシュパン)から主薬に点火する発火機構の総称です。狭義には17世紀に広まった「真のフリントロック(true flintlock)」を指しており、それ以前のスナップロックやスナップハンスなどの原型も便宜的にはフリントロックと呼ばれています。
構造と作動
作動の流れ
- パンに火薬を入れフリズンを閉じる
- 銃身に弾丸と主薬を装填する
- コックをフルコック(発射準備)に引く
- 引き金を引く
- 火打石がフリズンを打ちつけて火花が発生
- パンの火薬が着火し導火孔を通じて主薬に点火
- 発射
フリントロックの長所は、火縄を必要とせず、発射準備から点火までの動作が非常に速いことにあります。一方で湿気や風に弱く、パン内の火薬が湿ると失火することもありました。また黒色火薬による汚れが蓄積しやすく、長時間の使用では清掃と整備が欠かせません。それでも当時としては極めて信頼性が高く、整った射撃姿勢と安全性を両立した画期的な発明でした。
フリントロックの歴史
16世紀にヨーロッパで火打石を利用した発火装置が登場します。初期はスナップロックやミケレット、ドッグロックなどの原始的な機構が用いられていたのですが、構造は複雑で信頼性に欠けていました。
17世紀初頭、フランスのマラン・ル・ブルジョワによって、現代でいう「真のフリントロック(true flintlock)」が完成します。彼は芸術家でありながら銃工でもあり、構造を単純化して安全性・耐久性を高めた設計を生み出しました。特にコックと連動する垂直作動式シアとタンブラー機構の導入により、引き金操作と発火動作の安定性が格段に向上することになります。
この仕組みはフランス軍で急速に普及し、やがてヨーロッパ全土へと波及。17〜18世紀の大部分で、フリントロック銃は主力武器となりました。19世紀に入ると、より信頼性の高い雷管式(パーカッションロック)に置き換えられていきますが、フリントロックの設計は以後の銃器の基礎となり続けました。
フリントロックの特徴は、火縄銃と比べて発射準備が速く安全装置を備えていた点にあります。また戦列歩兵による一斉射撃にも適しており、近代的な銃隊戦術の発展を支えた存在でした。ナポレオン戦争期には、フリントロック式マスケット銃がヨーロッパ各国の主力兵器として使用され、のちにアメリカ独立戦争や日本の幕末期の軍備にも影響を与えています。
火縄銃との違い
日本で戦国時代に普及した火縄銃(マッチロック)とフリントロックの最大の違いは発火方式にあります
| 火縄銃(マッチロック) | フリントロック | |
|---|---|---|
| 点火方法 | 火のついた縄を導火薬に接触させる | 火打石を鋼に打ちつけて火花を飛ばす |
| 準備 | 火縄の管理が必要(風や湿気に弱い) | 火縄不要で即時発射可能 |
| 運用時期 | 16〜17世紀(日本では江戸初期まで) | 17〜19世紀(世界で標準化) |
火縄銃は単純で量産しやすい反面、火を維持する必要があり、夜間・雨天では扱いづらいものでした。フリントロックはそれらの欠点を克服しヨーロッパでは戦場の主役となります
日本におけるフリントロック
江戸時代には日本にもフリントロック式の銃がオランダ商館を通じて輸入されています。特に長崎経由で持ち込まれた銃は「火打銃」と呼ばれ、幕府の鉄砲方や諸藩の技術者によって研究されていました。ただし日本国内では既に火縄銃の技術体系が確立しており、また集団戦闘が起こらない平和な時代でもあったため、フリントロックは普及せず幕末までは実戦配備が限られていました。
幕末になると黒船来航などにより西洋式銃の必要性が高まり、フリントロック式のマスケットやピストルも輸入されるようになります。とはいえ1850年代にはすでに雷管式の銃が主流となっており、日本でフリントロックは過渡期の技術として短期間のみ使用されました。
銃の進化
- 13–15世紀:手砲(黒色火薬利用の初期の火器)
- 16世紀:マッチロック(火縄銃)普及。ホイールロックの登場
- 17世紀初頭:真のフリントロックがフランスで完成、欧州で主流化。
- 17〜19世紀:フリントロックが軍用の主力に
- 1807〜1830年代:雷管(パーカッション)発明→運用化。1830年代以降急速に普及
- 19世紀中盤:金属薬莢、連発銃器・後装小銃の発達、ミニエー弾の登場でライフルの有用性上昇
- 19世紀末〜20世紀:無煙火薬・センターファイア薬莢・ボルトアクションや自動小銃・機関銃の登場。現代兵器へ
火縄(火を保持) → 火打石(機械的打撃で火花) → 雷管(衝撃で点火) → 金属薬莢(自己完結)と、「点火方式」が進化することで銃は進化しています
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